健康診断や学校検診で「Brugada(ブルガダ)型心電図の疑い」と言われたら…
驚きや不安を感じるのは当然です。
この記事では、専門的な言葉はなるべく避け、
できるだけわかりやすく循環器専門医が、
Brugada(ブルガダ)型心電図について、
原因、症状などを解説していきます。

本記事は、下記ページの続きとして書かれています。
ぜひ最初から読んでみてくださいね。
Brugada(ブルガダ)型心電図と失神などの自覚症状
特に何も症状がないまま、
健康診断や検査で偶然見つかることが多いですが、
場合によっては次のような自覚症状があらわれることもあります。
- 強い動悸(ドキドキする感じ)
- めまいやふらつき
- 失神(一時的な意識消失)
- 寝ている間の呼吸停止のような症状
- 家族に突然死の既往がある場合も要注意
とくに失神は、危険な不整脈(心室細動など)が原因で起こることがあり、
放置すると命に関わる可能性もあります。
症状がなくてもBrugada(ブルガダ)型心電図を指摘された場合や、
過去に失神したことがある方、家族に突然死の経験がある方は、
必ず循環器内科・循環器科、特に不整脈診療を得意とする医師に、
相談することをおすすめします。
早めに専門的な評価を受けることで、
必要に応じた治療や予防策が検討され、
安心につながります。
Brugada(ブルガダ)型心電図で考えられる原因など
Brugada(ブルガダ)型心電図を示す人の中には、
以下のような疾患や状態が含まれている可能性があります。

Brugada(ブルガダ)症候群
失神や突然死のリスクがある心室性不整脈の病気です。
とくに夜間や睡眠中に起こることが多く、
若年〜中年の男性に多い傾向があります。
健常者
症状がなく、病気ではないけれど、
似たような心電図波形が出ることもあります。
Brugada(ブルガダ)型心電図とは?|かんたん解説
Brugada(ブルガダ)型心電図とは、
特定の心電図の波形パターンのことです。
この波形は、ときに「Brugada(ブルガダ)症候群」という、
失神の症状や、突然死のリスクを伴う、
不整脈性疾患と関連している可能性があります。
ただし、健康診断でたまたま見つかった「Brugada(ブルガダ)型の心電図波形」が、
必ずしも病気であるとは限りません。
症状がない人にも見られることがあるため、
「精密検査をして判断しましょう」という段階のことが多いのです。
Brugada(ブルガダ)型心電図では何科に受診?
**循環器内科・循環器科**の受診がおすすめです。
その中でも、不整脈を専門としている医師に相談できると、より安心です。
医師のプロフィールに下記のような記載がある場合はチェックポイントになります。
- ○○循環器学会 専門医 / 認定医 / 所属
- ◇◇不整脈(心電図)学会 専門医 / 認定医 / 所属
このような専門性のある医師がいるクリニックであれば、
適切な検査の選択や、必要に応じた専門病院への紹介もスムーズです。
また、受診前に「希望の先生が診察されているか」、
「予約が必要か」を電話で確認しておくと安心です。
Brugada(ブルガダ)型心電図にて考慮される追加検査
医師の診察内容や症状に応じて、
以下のような検査が考慮されます。
- 安静心電図
- 胸部レントゲン
- ホルター心電図
- 心臓超音波検査(心エコー)
- 運動負荷心電図検査
- その他
※これらすべての検査が行われるわけではありません。
※年齢や症状、生活習慣などをもとに、必要な検査を医師が判断します。
安静心電図
- 所要時間:1分ほど
- 費用(自己負担):約130〜400円
健診でやったばかりでも、
再確認やタイミングの違いで再検査されることがあります。
胸部レントゲン
- 所要時間:5分程度
- 費用(自己負担):約150〜500円
心臓の大きさや形、
肺の状態を確認するために行うことがあります。
ホルター心電図(24時間心電図)
- 所要時間:1日(装着時間は24時間が基本)
- 費用(自己負担):約1,750〜5,400円
日常生活の中で脈の異常がないかを調べる検査です。
シャワー対応の機種もあります。
心臓超音波検査(心エコー)
- 所要時間:20分ほど
- 費用(自己負担):約880〜2,800円
超音波を使って、心臓の動きや弁の状態を、
リアルタイムで確認します。
運動負荷心電図検査
- 所要時間:約30分
- 費用目安:約380円〜1,200円
運動中(軽いストレスをかけた時)の、
心電図変化や不整脈の出現をチェックします。
スマートウォッチ心電図でBrugada(ブルガダ)型心電図はわかる?
Brugada(ブルガダ)型心電図は、
独特な波形パターン(ST部分の変化)が現れる心電図所見です。
このような波形異常は、スマートウォッチ心電図では、
判定することができません。
スマートウォッチで確認できるのは、
不整脈の一部(とくに心房細動など)に限られます。
Brugada(ブルガダ)型心電図のように、
特定の波形パターンを確認するには、
病院・クリニックで行う12誘導心電図が必須です。
スマートウォッチはあくまで日常的な、
「脈のモニタリング」に役立つツールと考え、
診断は医療機関に委ねましょう。
Brugada(ブルガダ)型心電図のST上昇について
ここからは、少し詳しい話になります。
興味のある方だけ読み進めてくださいね。
Brugada型心電図は、心電図の右側の波形(V1〜V3)で、
特定のST上昇パターンが見られるものです。
この波形は以下のType1, Type2などに分類されます。
- Type 1:”山型(coved型)“のST上昇
- Type 2:”鞍型(saddle-back型)“のST上昇
- その他
Type 1:”山型(coved型)“のST上昇は診断的に最も重要とされており、
この波形がある場合、より詳しい評価が行われます。
また、Brugada(ブルガダ)症候群と診断されるには、
以下のような情報も重要です。
- 突然の意識消失(失神)や心停止の既往
- 夜間の苦しそうな呼吸
- 近親者に45歳未満の突然死がある など
最後に:慌てず、でも放置せず
Brugada(ブルガダ)型心電図は、
怖い印象を受けるかもしれませんが、
「波形の特徴」があるだけで、すぐに病気とは限りません。
ただ、心臓にかかわる大切なサインの一つであることは間違いありません。
まずは、循環器内科での診察と適切な検査を受けることが大切です。
気になることがあれば、
早めに相談してみましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事が、少しでも不安の解消や、
受診の参考になれば幸いです。