健康診断や学校検診で「心電図に異常があります」と言われ、
「時計回転」という言葉を目にして、
戸惑った方も多いのではないでしょうか?
この記事では、
「時計回転ってなに?」
「症状はなにか出るの?」
「太っていることと関係は?」
・・・といった不安や疑問にお答えします。
循環器専門医が、時計回転の心電図について、
肥満と関係もふくめ、わかりやすくお伝えしますので、
医療に詳しくない方でも安心して読み進めてください。

※本記事は、心電図異常を指摘された方に向けた、
 総合案内ページの続きです。
まだご覧になっていない方は、以下からぜひご一読ください。
時計回転の心電図と自覚症状
「時計回転」という心電図所見自体に、
特有の症状はありません。
健康診断や学校検診などの心電図検査、
偶然見つかることが多く、
ほとんどの人は無症状です。
ただし、次のような症状がある場合には、
背景に心不全などの心疾患が、
隠れている可能性もあるため、
注意が必要です。
- 息切れ、呼吸が苦しい
- 足や顔のむくみ
- 体重増加
- 疲れやすさ、倦怠感
時計回転の心電図、原因は?
時計回転の心電図の原因や背景については、
以下のようなものがあります。
左室拡大
拡張型心筋症や、
広範な急性心筋梗塞による、
左室拡大があると、
時計回転の心電図を示す場合があります。
肥満、太った体型
肥満や、太った体型では、
心臓が横(水平位)になり、
時計回転の心電図がみられる場合があります。
心電図の時計回転、受診の目安
気になる自覚症状があったり、ご心配な方は、
クリニックや病院受診を積極的にご検討ください。
「循環器内科」または「循環器科」の受診がおすすめです。
とくに、公式HPや、医師プロフィールに、
以下のような記載がある病院・クリニックがお勧めです:
- □□循環器学会 専門医 / 認定医 / 所属
- ◇◇心臓病学会 所属 など
これらの専門性を持った医師の診察を受けると、
- 安静心電図検査の再検
- 胸部レントゲン検査
- 心臓超音波検査(心エコー)
といった、必要な追加検査や、
その検査結果に応じた対応が、
スムーズに進む可能性が高いです。
予約が必要な場合もありますので、
「初診で受け入れているか」、「希望の先生がいる日かどうか」などを、
受診前に電話で確認するのが安心です。
心電図の時計回転とは?|移行帯から、わかりやすく説明
「時計回転」という言葉を聞くと、
なんだか心臓がグルっとねじれているような
印象を受けるかもしれません。
でも、実際には心臓が時計回転方向に、
ねじれているわけではありませんので、ご安心ください。
これは心電図の波の見え方を専門的に表す言い方で、
特に「胸部誘導(V1〜V6)」という部分の波形の変化を示しています。
心電図の移行帯とは?
心臓が1回拍動すると、
心電図ではギザギザの波のかたまりが記録されます。
この波にはそれぞれ、R波(上向きの波)やS波(下向きの波)、
といった名前がついています。
このR波とS波の大きさが、
ちょうど同じくらいになる位置のことを、
「移行帯(いこうたい)」と呼びます。
時計回転の心電図とは?
この移行帯が、
通常より左側(V3〜V4あたり)ではなく、
もっと右側(V5〜V6など)にずれていると、
「時計回転」と表現されます。
一方で、「反時計回転」と呼ばれる心電図所見もあります。
時計回転の心電図は、スマートウォッチ心電図でわかる?
近年、スマートウォッチでも手軽に心電図が記録できるようになり、
健康管理に役立てている方も増えてきました。
その中で、ご自身自分のスマートウォッチの心電図を見て、
「時計回転かどうか判断できるの?」
と気になっている方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、スマートウォッチの心電図だけでは
「時計回転かどうか」は判断できません。
その理由は、スマートウォッチで記録できる波形は、
腕からの電気の流れを捉えた “I誘導” など、
限られた誘導からの情報となるためです。
「時計回転」を確認するには、胸に電極をつけて記録する
「胸部誘導(V1〜V6)」の情報が欠かせません。
スマートウォッチの心電図には
この情報が含まれていないのです。
「時計回転」という所見を正確に判断するためには、
医療機関などで行われる「12誘導心電図検査」を
受ける必要があります。
スマートウォッチでは、脈拍の速さやリズムの乱れといった
基本的な心拍情報はある程度わかりますが、
胸部誘導の変化までは確認できません。
スマートウォッチ心電図は便利なツールですが、
補助的な役割にとどめておくのが安心です。
「波形が気になる」
「アプリの結果に違和感がある」
といった場合には、循環器内科・循環器科など、
専門の医療機関で検査を受けることをおすすめいたします。
※執筆時点での情報をもとにしています。
※スマートウォッチの機能や医療機器認定は日々アップデートされていますので、
 最新情報はメーカーや公式発表をご確認ください。
まとめ
「時計回転」という心電図所見だけで、
すぐに病気と判断する必要はありません。
ただし、
- 他の異常もある
- 症状がある
- 心配な点がある
といった場合には、循環器の専門医に、
一度相談してみることをおすすめします。
不安な気持ちが少しでも軽くなれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

