【反時計回転】の心電図ってなに?|症状や原因、移行帯についてわかりやすく説明

健康診断や学校検診の心電図で「反時計回転」と指摘をうけて、
ご心配に思ったことはありませんか?

「えっ、心臓が回転してるの!?」
「症状ないけど、病気なの?」
「原因はなんなの?」

・・・と驚く方も少なくありません。

でも、安心してください。

反時計回転は多くの場合、
問題にならない」心電図所見のひとつです。

今回は、反時計回転とはどういうことなのか、
症状や原因、痩せ型との関係、

そして「移行帯」というキーワードについても、
循環器科専門医がやさしく解説します。

心電図の上にハートの模型が置いてあります

本記事は下記親ページの続編となります。

よろしければ、最初から読んでみてくださいね。

心電図で異常を指摘されたら?

心電図の反時計回転とは?移行帯についても説明

まず、名前からしてちょっと怖いですが、
反時計回転」というのは、

実際に心臓が反時計方向にグルグル回っているわけではありません

反時計回転は、心電図に映る波のパターンの見え方を表した専門用語で、
特に「胸部誘導(V1〜V6)」という部分で使われます。

👉心電図の記録についてはこちら

心臓が一回「ドックン」と動くと、
心電図ではギザギザの波のかたまりが記録されます。

このギザギザの各部分には、
それぞれR波S波といった名前がついています。

心電図では「移行帯」といって、
R波(上向きの波)とS波(下向きの波)が、

ちょうど同じくらいになる位置があります。

この移行帯が通常より左(V3~V4あたり)ではなく、
右寄り(V1~V2)にあると、

「反時計回転」と表現されるのです。

一方で、「時計回転」と呼ばれる心電図所見もあります。

👉心電図波形、各波の解説はこちら

心電図、反時計回転と自覚症状

基本的に、反時計回転そのものによる症状はありません。

つまり、反時計回転だから「胸が痛い」とか、
「動悸がする」というようなことは通常ありません。

原則として、
問題となることの少ない心電図のパターンであり、

健康診断センターや医療機関によっては、
「所見なし」と判断されることもあります。

ただし、「胸が痛い」「動悸がする」などの気になる症状がある場合に、
反時計回転だったから大丈夫と安心しきるのはリスクがあります。

こうした症状がある場合は、
循環器内科・循環器科での受診をぜひご検討ください。

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反時計回転の心電図、原因は?

瘦せた体型の人では、心臓が垂直となり、
心電図で「反時計回転」を示しやすいと言われています。

スマートウォッチ心電図で反時計回転はわかる?

最近では、スマートウォッチでも、
心電図が記録できるようになってきました。

自分のスマートウォッチ心電図を見て、
『反時計回転』かどうかわかるの?

と思われる方もいるかもしれません。

結論から言うと、スマートウォッチの心電図だけでは、
反時計回転はわかりません。

なぜかというと、スマートウォッチで測れる心電図は、
「I誘導」などの限られた一方向の波形のみであり、

胸部誘導(V1〜V6)と呼ばれる部位の情報が、
含まれていないからです。

反時計回転の判断には、
胸部誘導の「移行帯」の位置を見る必要があり、

そのためには病院などで行う12誘導心電図が必要になります。

ただし、スマートウォッチの心電図でも、
「脈の遅い速い」や「リズムの乱れ」などは、

ある程度チェックできます。

あくまで補助的なツールとして活用しつつ、
気になる点があれば、

医療機関での心電図検査を受けることをおすすめします。

スマートウォッチと病院・クリニックの心電図の違いについて

※執筆時点での情報をもとにしています。

※スマートウォッチの機能や医療機器認定は日々アップデートされていますので、
 最新情報はメーカーや公式発表をご確認ください。

まとめ

反時計回転は、
心電図の波の見え方に関する専門用語で、

多くの場合、病気ではなく、
体格などによる変化です。

ただし、以下のような場合は医師の診察を受けると安心です:

  • 他にも心電図所見がある
  • 胸痛や息切れなどの症状がある
  • 以前と心電図のパターンが変わった

反時計回転を言われても、あわてる必要はありません。

しかし、気になることがあれば無理に自己判断せず、
専門医にご相談くださいね。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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