健康診断や学校検診などで心電図を受けた際に、
上室性期外収縮と指摘され、不安を感じていませんか?
- 症状はないけれど、精密検査は必要なの?
- 頻発とか連発って書いていあるけどどういうこと?
- 原因や将来のリスクが気になる……
──こういった不安や疑問を抱えていませんか?
このページでは、心電図、上室性期外収縮について、
循環器専門医がくわしく解説いたします。

本記事は、下記の関連ページの続きとして作成しています。
ぜひ最初から順にご覧ください。
上室性期外収縮の心電図と症状
心電図で上室性期外収縮を認める場合、
人によっては次のような自覚症状を感じることがあります:
- 胸の中で「ドン」と一拍強く感じる
- 一瞬脈が飛んだような感覚(脈が抜ける感じ)
- 動悸(ドキドキする感じ)
- 胸の違和感や不快感
一方で、まったく自覚症状がないこともあります。
これらの症状は一時的で、
特に安静時や寝る前などに気づくことが多いです。
上室性期外収縮は多くの場合、
一過性で心配のいらないものです。
頻繁に繰り返したり、
症状が強かったりする場合には、
飲酒・ストレス・カフェイン・睡眠不足などの影響が考えられます。
また、まれにほかの不整脈や心疾患のサインであることもあるため、
「気になる症状が続く」「回数が多い」と感じた場合は、
一度循環器内科・循環器科で確認しておくと安心です。
上室性期外収縮:心電図検査結果で考えられる原因・病気など

▶ 心臓病
弁膜症などの器質的疾患で高頻度に見られます。
▶ 心房細動・心房粗動への移行
刺激が不規則になったり、
または旋回することで移行リスクがあります。
▶ 甲状腺機能異常
甲状腺ホルモン過剰は不整脈の引き金になります。
▶ 飲酒・喫煙・ストレス
これらは発生頻度を高める要因です。
▶ 健常者
背景や原因がなくても、
一定数の人で認められることがあります。
期外収縮とは?心電図、上室性期外収縮のザックリ解説
心臓は指揮系統がしっかりしていて、
通常は親分(洞結節)の命令で動きます。
しかし時に、親分よりも早く子分が命令をだしてしまい、
心臓が動く事があります。
期外収縮とは、親分(洞結節)より早く、
子分(洞結節以外の部位)に電気的刺激が生じ、
心臓が動いてしまう不整脈で、
上室性期外収縮や心室性期外収縮などがあります。
▶ 上室性期外収縮
心房(心臓の上の部屋)から発生する期外収縮となります。
上室性期外収縮の頻発
上室性期外収縮数が、
記録した全波形の10%以上の場合、頻発性とされます。
上室性期外収縮の連発
上室性期外収縮が2つ以上連続するものは、
連発と呼ばれます。
▶上室性期外収縮と心室性期外収縮
期外収縮の中でも、
心房という場所(心臓の上の部屋)から出るものを
上室性期外収縮、
心室という場所(心臓の下の部屋)から出るものを
心室性期外収縮と呼びます。
上室性期外収縮の心電図:クリニック受診前の確認ポイント
気になる症状があったり、ご不安を抱えている方は、
「循環器科」「循環器内科」を標榜しているクリニックや病院での相談を、
検討してみてくださいね。
特に不整脈を専門とする医師の診察を受けることで、
必要な追加検査や治療方針がスムーズに進むことがあります。
受診先を選ぶ際に、
医師のプロフィール欄をチェックしておくと安心です。
以下のような資格や所属があるか、
参考にしてみてください:
✅ 医師プロフィールでチェックしたい表記
- ◇◇不整脈心電学会:専門医/認定医/所属
⇒ 不整脈を専門としていることを示します。 - □□循環器学会:専門医/認定医/所属
⇒ 心臓病全般に詳しい医師であることを示します。 - △△心臓病学会:専門医/認定医/所属
⇒ 心臓疾患に関する知識や経験が豊富であることを示します。
このような表記がある医師であれば、
追加検査や治療の組み立てや、
必要に応じて高次医療機関(大病院など)への紹介も、
適切に行ってもらえたりと、
スムーズな展開が期待できます。
また、クリニックによっては、
医師の担当日や予約制となっている場合もあります。
診察希望の医師がいる場合は、
事前に電話などで確認・予約しておくと安心です。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、
特定の医師や医療機関を推薦・誘導するものではありません。
※診断・治療に関しては、必ず医療機関にご相談ください。
上室性期外収縮:心電図異常で考慮される追加精密検査
- 安静心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- ホルター心電図検査
- 心臓超音波検査
- 血液検査
- etc.
※ご紹介した検査は一例であり、すべての方に必要というわけではありません。
必要な検査内容は、症状や年齢、既往歴などをふまえて、医師が判断します。
▶ 安静心電図検査
- 所要時間:1分程度
- 自己負担額: 約130円~400円(自己負担割合による)
**すでに健康診断などでやったのに、
もう一回?**と思われるかもしれません。
異なるタイミングで行うことで、
再現性の有無や変化をチェックします。
検査当日に結果説明が可能です。
▶ 胸部レントゲン検査
- 所要時間:5分程度
- 自己負担額: 約150円~500円(自己負担割合による)
胸部のX線撮影によって、心臓の大きさや形、
肺の状態などを確認できます。
簡便で広く行われている検査で、
心不全の有無や肺の病気の除外にも役立ちます。
結果説明は当日中が一般的です。
▶ ホルター心電図検査
- 所要時間:1日程度(24時間以上)
- 自己負担額: 約1,750円~5,400円(自己負担割合による)
心電図を24時間以上装着し、
日常生活中の心拍やリズムの変化を記録します。
激しい運動や大量の発汗は控える必要があります。
検査結果の解析には2~3日かかります。
▶ 心臓超音波検査
- 所要時間:20分程度
- 自己負担額: 約880円~2,800円(自己負担割合による)
超音波で心臓の動き・構造・弁の状態などを観察します。
安全な検査で、検査当日に結果説明が可能です。
▶ 血液検査
- 所要時間:3分程度
- 自己負担額: 約1,200円~3,600円(自己負担割合による)
甲状腺機能や電解質異常、貧血など、
不整脈の背景となる要因をチェックします。
結果は当日~1週間程度で判明します。
🔍 補足事項
- 記載している所要時間は、検査そのものに要するおおよその目安です。
- 受付や待ち時間、検査後の説明などにかかる時間は含まれていません。
- 自己負担額については、検査にかかる費用のおおまかな目安です。
- 制度変更などにより金額が変動することがあります。
- 診察料や処方薬代などは別途必要となる場合があります。
- 実際の検査時間・費用・結果説明の時期などは、医療機関ごとに異なります。
- 詳しくは、受診を予定している医療機関に直接ご確認ください。
スマートウォッチ心電図で上室性期外収縮はわかる?
スマートウォッチ心電図には、
一部の不整脈を検出できる機能が備わってきています。
ただし、現状では主にリズムの異常をとらえることを対象としており、
上室性期外収縮を正確に診断できる機能は限られています。
脈が「一瞬乱れたり」、「ドキッと飛ぶ」といった感覚があった場合に、
スマートウォッチで記録されることはあります。
しかし、それが本当に上室性期外収縮かどうかは、
病院・クリニックでの12誘導心電図やホルター心電図といった、
精密検査が必要です。
スマートウォッチ心電図はあくまで、
「気づきのきっかけ」として活用し、
確定診断のためには必ず医療機関を受診しましょう。
よろしければ、こちらの記事もご参考になさってください。
※執筆時点での情報をもとにしています。
※スマートウォッチの機能や医療機器認定は日々アップデートされていますので、
最新情報はメーカーや公式発表をご確認ください。
上室性期外収縮の心電図所見:特徴や基準など
ここからは少し難しい話しかもしれません。
ご興味のある方は読み進めてくださいね。
▶ 上室性期外収縮:心電図所見の特徴
- 洞結節よりも早く電気的刺激が出て発生
- P波が異所性となる
- T波と重なって見えにくい場合あり
- 同じ形のP波:単源性、多数のP波:多源性
- QRS波は通常と同じ幅
- 次の洞調律は遅れて出現し、P-P間隔は2倍未満
■ 二段脈
1拍ごとに期外収縮が出現するパターン。
通常の拍動と期外収縮が交互に現れます。
■ 三段脈
2拍ごとに期外収縮が出現するパターン。
通常の拍動が2つ続いたあとに、
1回の期外収縮が入る形になります。
■ ペア(2連発)
期外収縮が2回連続で発生する状態を「ペア」と呼びます。
■ ショートラン(短連発)
3回以上の期外収縮が連続して出る状態で、
持続時間が短い場合に使われる用語です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
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