健康診断や学校検診の結果で
「ST-T異常」と書かれていると、
ちょっとドキッとしますよね。
異常と言われたら、
「心臓の病気?」
「原因は?」
「症状ないけど、大丈夫なのかな?」
・・・と心配になるのは当然です。
特に、高校生などの学生さんや、
その保護者の方にとっては、
何をどう考えたらいいか
戸惑う場面だと思います。
そこで今回は、ST-T異常の心電図所見とは
どういうことなのか?
どんな背景や病気が考えられるのかを、
循環器専門医の視点から
やさしく解説いたします。
※本記事は診断や治療を目的としたものではありません。
※受診の判断材料や、理解を深める参考としてお使いください。
※検査元から受診指示がある方は、必ず医療機関をご受診ください。

このページは、下記記事の続編となります。
よろしければ最初からご覧になってください。
心電図、ST-T異常と症状について
明らかな症状が出ないこともありますが、
次のような自覚症状がみられることがあります:
- 胸の痛みや圧迫感
- 息切れや呼吸しづらさ
- 動悸(ドキドキ)
- めまい、ふらつき
- 倦怠感、疲れやすさ
ST-T異常は、狭心症や心筋症
電解質異常、心筋炎、
ストレス、薬の影響など
さまざまな原因で現れます。
無症状でも、心臓に何らかの変化が起きている
サインの可能性があるため、
一度循環器内科を受診され
精密検査などを受けることをおすすめいたします。
✅健康診断の心電図で【経過観察】や【異常なし】…でも体調不良? それって病気?
ST-T異常とは?心電図の“波形”の異常です
心電図は心臓が1回動くと、
その電気信号が
ひとかたまりのギザギザとして表現されます。
実はギザギザには
それぞれ名称がついています。
「ST-T異常」は、心電図の波形の中でも、
「ST部分」や「T波」と呼ばれる部分に
変化があるという意味です。
これらは、心臓の筋肉が
電気刺激で収縮したあとに
元の状態に戻る過程を示す波形です。
この波形がいつもと違う形になっていると、
「ST-T異常」と判定されます。
心電図のST-T異常は、大きく分けて4種類あります
それぞれ、意味する病気や心臓の状態が異なります。
ST上昇の心電図
心電図の「ST部分」の波形が
通常より上に突き出すように見えます。
ST低下の心電図
心電図の「ST部分」の波形が
通常より下がって見えます。
平低T波の心電図
心電図でT波という部分が
「平ら≒低く」みえます。
陰性T波
心電図でT波という部分が
下向きに反転しています
ST-T異常の心電図で考えられる原因・病名など
心電図にST-T異常が出る背景には、
さまざまな原因があります。

狭心症や心筋梗塞
心臓の血流に問題がある可能性があります。
胸の圧迫感、息切れなど、
症状がある場合は注意が必要です。
左室肥大
左心室という、血液を全身に送り出すポンプの
部屋の壁(筋肉)が分厚くなっています。
高血圧のある方や、
長年スポーツをしている方などに見られます。
薬剤の影響、電解質異常
服薬中の方や体調不良に伴い、
ST-T部分の波形が変わることもあります。
健康な方でも見られることがある
特に若年者(高校生、大学生など)や女性の方では、
「生理的ST-T変化」として問題がない場合もあります。
子供や高校生でも「ST-T異常」と指摘されることがあります
学校検診で見つかるST-T異常の多くは、
必ずしも重大な病気とは限りません。
ただし、念のため医療機関で
一度評価を受けておくと安心です。
特に、以下のような症状や
家族歴がある場合は受診が推奨されます:
- 胸の痛みや動悸、息切れがある
- 家族に突然死や心臓病の既往がある
- 運動中に気を失ったことがある
ST-T異常が見つかったら?循環器専門医の受診がお勧めです
気になる症状や、ご不安があれば
循環器内科、
子供さんの場合は
循環器分野を得意とする小児科受診がお勧めです。
12誘導心電図の再検査や、
心エコー・血液検査などを通じて
心臓の状態を詳しく確認することができます。
特に運動時の胸痛や息切れがある場合は、
早めの相談が安心につながります。
受診の前に、一度クリニックや病院へ
お電話で連絡を入れておくのもおすすめです。
予約方法や、希望する医師の診療日を事前確認しておくと、
手続きや当日の流れがよりスムーズになります。
とくに専門外来では、診察日が特定の曜日に設定されていたり
担当医が限られている場合もあります。
事前に問い合わせておくと、待ち時間の短縮や、
予約に関するトラブルを防ぐことにつながります。
スマートウォッチ心電図でST-T異常はわかる?
スマートウォッチ心電図で
記録できるのは、
脈が「不規則かどうか」
「速いか遅いか」といった、
一部の不整脈に限られます。
そのため、ST-T異常のような
波形異常の判定を
スマートウォッチですることはできません。
ST-T異常の判定には、
病院・クリニックで行う
12誘導心電図検査が必要です。
スマートウォッチ心電図は
「不整脈を発見するきっかけ」
に役立つものと考え、
波形異常の確認には
医療機関を受診しましょう。
※執筆時点での情報をもとにしています。
※スマートウォッチの機能や医療機器認定は日々アップデートされていますので、
最新情報はメーカーや公式発表をご確認ください。
まとめ:心電図でST-T異常について
- ST-T異常はあくまで“心電図波形の変化”であって、「病気が確定した」というわけではありません。
- 背景にはごく軽い変化から重大な病気まで幅があり、医師の診察や確認の検査が必要となります。
- 何よりも、「異常」と言われて不安になった方、「自覚症状」のある方が適切な情報と医療機関にたどり着けることが大切です。
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以上となります。
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