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心室性期外収縮といわれたら|受診前にチェックしたいポイント
健康診断の心電図検査で、心室性期外収縮と書かれていて、
- 症状はないけど…精密検査って受けた方がいいの?
- なにかの病気?原因って?
- 気になる症状はあるけど…このまま様子見で大丈夫?
──そんな不安を抱えている方は、「循環器科」「循環器内科」を標榜しているクリニックや病院での相談を検討してみてくださいね。
受診前に確認しておきたいポイント
✅ 1. クリニックの診療科をチェック
「循環器科」または「循環器内科」と書かれているか確認しましょう。
心臓病や不整脈に対応しているかどうかの参考になります。
✅ 2. 医師のプロフィールを見てみましょう
公式サイトなどに載っている医師の経歴や資格欄をチェックすることで、その先生がどんな分野を得意としているかがわかります。
特に、以下のような表記がある場合は参考になります:
- □□不整脈(心電図)学会 専門医/認定医/所属
→ 不整脈への対応経験があることが期待されます - 〇〇循環器学会 専門医/認定医/所属
→ 心疾患全般への知識と経験がある可能性があります - △△心臓病学会 専門医/認定医/所属
→ 幅広い心臓疾患への対応力が期待できます
※資格の有無だけで医師の力量を判断するものではありませんが、診療内容とのマッチングを考える際の一助になります。
どんなメリットがあるの?
不整脈を専門とする先生に相談すると、
- 必要な追加検査の判断
- 結果をふまえた治療方針の決定
がスムーズに進む可能性が高くなります。
もちろん、すべての検査・治療がその場で完結するわけではありませんが、
高度な検査や治療が必要と判断された場合でも、スムーズに総合病院への紹介が期待できます。
✅ 電話予約もおすすめ
受診を希望する先生の診察日や予約の有無について、事前に電話で確認しておくと安心です。
心室性期外収縮とは?|ザックリ解説します
心臓は「指揮系統」がしっかりしていて、ふつうは**洞結節(どうけっせつ)という“親分”**が命令を出して動いています。
でも、ときどき親分より早く“子分”が勝手に命令を出してしまうことがあります。
それによって、予定外のタイミングで心臓が動いてしまう──
これが 「期外収縮」 という不整脈です。
期外収縮の中でも、心室という場所(心臓の下の部屋)から出るものを「心室性期外収縮」と呼びます。
「リズムの中に、ちょっと予定外のドン!が入ってきてるな」というような状態です。
💡補足
- 記録された心電図の10%以上に出現している場合、頻発性(ひんぱつせい)と呼ばれます
- 2つ以上連続して出現する場合は、連発(れんぱつ)と呼ばれます
心室性期外収縮といわれたときに行われる可能性のある検査
- 安静心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- ホルター心電図検査
- 心臓超音波検査(心エコー)
- 運動負荷心電図検査
- 冠動脈造影CT検査
- 血液検査
- etc.
※すべての検査が必須というわけではありません。
症状の有無、年齢や生活習慣、持病、そして医師の判断により必要なものを選択していきます。
※下記記載している所要時間、費用はあくまで目安です。実際には、医療機関や医療保険の内容によって変わることがあります。
安静心電図検査
- 所要時間:1分程度
- 自己負担の目安:130〜400円
- 健康診断と同じ検査ですが、タイミングを変えて再検査することで、異常の再現性や変化を確認します。
- 多くの場合、当日に結果説明が可能です。
胸部レントゲン検査
- 所要時間:約5分
- 自己負担の目安:約150円〜500円(自己負担割合によります)
- 胸部のX線撮影によって、心臓の大きさや形、肺の状態などを確認できます。
- 簡便で広く行われている検査です。
- 結果説明は当日中が一般的です。
ホルター心電図検査(24時間心電図)
- 所要時間:1日(最低8時間以上)
- 自己負担の目安:1,750〜5,400円
- 小型の心電図機器を装着して、日常生活中の心電図変化を記録します。
- シャワー対応機種もありますが、湯船はNG。
- 結果は通常2~3日以内に解析完了。
心臓超音波検査(心エコー)
- 所要時間:20~30分程度
- 自己負担の目安:880〜2,800円
- 心臓の動き・弁・筋肉の厚みなどを、リアルタイムで画像として確認できます。
- 放射線なし、体に無害で、当日説明が可能です。
運動負荷心電図検査(トレッドミルなど)
- 所要時間:30分程度
- 自己負担の目安:380〜1,200円
- ウォーキングなどで心臓に負荷をかけて、運動中の心電図変化を確認します。
- 狭心症など、負荷によって出現する異常の検出に役立ちます。
冠動脈造影CT検査(心臓CT)
- 所要時間:20分(前後の処置含めて最大3時間)
- 自己負担の目安:3,000〜9,200円
- 心臓の血管(冠動脈)の狭窄や詰まりをCTで調べる検査です。
- 造影剤を使うため、腎機能が低下している方や、息止めが難しい方は注意が必要です。
血液検査
- 所要時間:3分程度
- 自己負担の目安:1,200〜3,600円
- **電解質異常、甲状腺機能、貧血、心臓への負担の指標(BNPなど)**を調べます。
- 結果は当日~1週間以内に説明されることが多いです。
心室性期外収縮が出るときに考えられる病気や背景

心筋梗塞
冠動脈が閉塞することで起こり、心室性期外収縮が高頻度で出現します。
狭心症
冠動脈の狭窄による虚血発作時に、心室性期外収縮が起こることがあります。
心筋症
心筋の異常(厚くなる・薄くなる)で、異常興奮が生じやすくなります。
健常者
基礎疾患がなくても、長時間モニターすれば一定数の人に見られます。
📘 ここから先は、ちょっと専門的なお話です
ご興味のある方は、ぜひ読み進めてみてくださいね。
心室性期外収縮の心電図所見
- 洞結節以外、特に心室からの刺激により発生
- QRS波は幅が広く、洞調律とは異なる形を示す
- P波はQRS波に埋もれて見えにくい場合あり
- 代償性休止(P-P間隔がちょうど2倍)を示す
- 単源性(1つの発生源)、多源性(複数の発生源)で波形が異なる
心室性期外収縮のタイプ
- R on T型
T波の頂点付近で起こる。心室細動を誘発しやすく、危険。 - 融合収縮
洞調律と期外収縮が同時に心室へ刺激を伝え、中間的な波形を示す。 - 二段脈・三段脈
1拍おき(二段脈)、2拍おき(三段脈)で期外収縮が発生するタイプ。 - ペア(カプレット)
2連発の心室性期外収縮。 - 心室頻拍
- 30秒未満で自然停止:非持続性心室頻拍
- 30秒以上継続、または重篤な症状:持続性心室頻拍
✉️ おわりに
心室性期外収縮は、一見シンプルな不整脈に見えても、その背景や波形の違いによって、意味合いや対処法が変わることがあります。
専門的な内容でしたが、少しでも理解の助けになれば嬉しいです。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
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