WPW症候群とはどんな病気?心電図の特徴や不整脈の症状・治療をわかりやすく説明

本記事は下記ページの続きとなります。よろしければ、あわせてご覧ください。

心電図で異常を指摘されたら?

心電図の上にハートの模型が置いてあります。

健康診断や学校検診の心電図検査で、WPW症候群の疑いを指摘され、びっくりしていませんか?

不整脈なの?なにか困るの?
自覚症状はないんだけど…?
治療が必要なの?
聞き慣れない名前で、なにか難しい病気ではないかと心配になる方も多いと思います。

WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)は、
生まれつきの心臓の“電気の通り道”に関する特徴であり、多くの場合は無症状で経過します。

ただし、一部の方には動悸などの不整脈症状が出ることもあり、放置すると危険なケースもあります。
この記事では、循環器専門医がWPW症候群について、やさしく、わかりやすく解説します。

WPW症候群と症状|こんな症状は要注意

WPW症候群の多くは症状がありませんが、次のような症状がある場合は、
不整脈が関係している可能性があります。

  • 急に心臓がドキドキしはじめる(発作性の動悸)
  • 動悸がしばらく続いて止まらない
  • めまいやふらつき
  • 一瞬意識を失うような感じ(まれに失神)

このような症状がある方、あるいは不安を感じている方は、循環器内科や循環器科の受診を検討してみてください。
専門的な評価を受けることで、将来的なリスクを減らせる可能性があります。

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心電図、WPW症候群で考えられる不整脈や背景

医師がWPWに関連する不整脈を説明しています。

WPW症候群

生まれつき副伝導路がある状態。多くは無症状ですが、突然の頻拍が起こることがあります。

発作性上室性頻拍(PSVT)

WPW症候群の副伝導路が原因となり、突然の動悸を繰り返す状態。

心房細動

WPW症候群に合併すると、心拍数が極端に速くなり危険な状態になることがあります。

心房細動について詳しくはこちら

心室細動

極めてまれですが、致死的な不整脈。重症化する前の予防が重要です。

WPW症候群の心電図|ザクッと解説します

WPW症候群は、心臓の電気の流れが**「副伝導路」と呼ばれる余分なルート**を通ることによって、心電図の波形異常が現れる状態です。

心電図では、以下のような所見が見られます。

  • デルタ波:QRS波の立ち上がりがゆるやかになる
  • PR間隔の短縮:心房から心室への電気の伝わり方が早くなる
  • QRS幅の拡大:電気信号が広がる時間が長くなる

これらの変化は、症状がない場合でも健康診断や学校検診偶然見つかることがあります。

心臓の電気の流れ(心臓刺激伝導系)はこちら

心電図波形、各波の解説はこちら

WPW症候群の心電図、受診前の確認ポイント

心電図でWPW症候群の疑いがあると言われ、症状があったり、ご心配な方は、
循環器内科または循環器科のある医療機関の受診をおすすめします。

特に、以下のような専門性のある医師が在籍しているクリニックや病院であれば、より安心して相談できます。

  • 〇〇循環器学会 専門医/認定医/所属
  • ◇◇不整脈心電学会 専門医/認定医/所属
  • □□心臓病学会 専門医/認定医/所属

これらの資格は、不整脈や心電図異常の診療経験が豊富であることの目安になります。
とくにWPW症候群のように、「症状のない異常」か「治療が必要なものか」かを見極めるには専門的な判断が重要です。

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WPW症候群の心電図で検討される追加検査

安静時心電図(12誘導)

ベッドに横になって心電図をとる基本的な検査です。
WPW症候群の特徴的な波形(デルタ波など)を確認します。

ホルター心電図(24時間記録)

小型の心電計をつけて、1日分の心電図を記録します。
普段の生活の中で不整脈が出ていないか確認できます。

心臓超音波検査(心エコー)

胸に超音波をあてて、心臓の動きや構造をリアルタイムで確認します。
背景に心臓の病気がないかを調べるために行います。

運動負荷心電図

運動しながら心電図をとり、動いたときに不整脈が誘発されるかを確認します。
症状の誘因になるかどうかを見ます。

電気生理学的検査(EPS)

カテーテルを使って心臓の中の電気の流れを詳しく調べます。
副伝導路の性質や位置を正確に把握し、治療方針を決めるのに役立ちます。

👉補足

  • ここでご紹介する検査がすべての方に行われるわけではありません
  • 実際にどの検査が必要かは、症状や背景、診察時の医師との相談によって決まります
  • また、心臓を詳しく調べる検査にはこのほかにも様々な種類があります

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その他の心電図異常についてはこちら

WPW症候群、心電図所見の基準など

本セクションは専門的な内容となります。
よろしければ、読んでみてくださいね。

WPW症候群では、副伝導路(Kent束)を介した房室間の早期興奮により、以下のような心電図所見を認めます。

基本的な定義・基準

  • PR間隔の短縮(≦0.12秒)
  • QRS幅の拡大(≧0.12秒)
  • デルタ波出現(QRS初期の緩徐な立ち上がり)

分類

  • WPW A type:右側の副伝導路。V1〜V6でデルタ波が陽性になることが多い
  • WPW B type:左側の副伝導路。V1でデルタ波が陰性を示す
  • etc.

頻拍を伴う場合は「WPW症候群」、波形のみで頻拍がない場合は「WPW型」と呼び分けることがあります。
危険度評価にはEPSによる補助診断が推奨され、心房細動合併例では重症化リスクがあります
治療適応の判断には、年齢・症状・副伝導路の性質を総合的に評価する必要があります。

心臓の電気の流れ(心臓刺激伝導系)はこちら

心電図波形、各波の解説はこちら

まとめ|WPW症候群の心電図について

  • WPW症候群は、生まれつきの「副伝導路」が原因で起こる心電図異常です
  • 症状がないことも多いですが、動悸や不整脈がある場合には注意が必要です
  • 心電図では「デルタ波」「短いPR間隔」「広いQRS波」が特徴です
  • 正確な診断とリスク評価には、循環器の専門医による診察が必要です
  • 状況によっては、カテーテルアブレーション(手術)で根本的に治療することも可能です

心電図の異常に不安を感じたら、一度専門医に相談してみましょう。
あなたの毎日が安心で穏やかに過ごせるよう、お手伝いできる医療があります。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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