僧帽弁閉鎖不全症(MR)の心電図|特徴的な波形と所見のまとめ

  • 僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、心電図にどのような特徴が出るの?
  • 心電図所見から、僧帽弁閉鎖不全症(MR)の病態をどこまで考えられるの?
  • 僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、どの波形に注目すればいいの?

僧帽弁閉鎖不全症は、
左心室から左心房へ血液が逆流する心臓弁膜症です。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
逆流によって
左室や左房に負荷がかかるため、

心電図でもいくつかの
特徴的な波形や所見がみられることがあります。

心電図を読むことで
僧帽弁閉鎖不全症(MR)によって

心臓ににどのような負荷がかかっているのか
を推測する手がかりになります。

この記事では、循環器専門医が、
僧帽弁閉鎖不全症(MR)の心電図でみられる
特徴的な波形と所見について、

病態と関連づけながら
わかりやすく解説いたします。

循環器内科とは?専門とする病気・症状・受診の目安を医師が解説

心電図の上に聴診器とハートの模型が置いてあります。

このページは、下記親ページの続編となります。
よろしければ、ご査収ください。

親ページ:心臓病・不整脈から引ける心電図所見まとめ|実践インデックス

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僧帽弁閉鎖不全症とは?|MR:Mitral Regurgitation

僧帽弁閉鎖不全症は、
英語で Mitral Regurgitation:MR
と呼ばれます。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
左心房と左心室の間にある
僧帽弁がうまく閉じなくなることで、

心臓が収縮したときに、
左心室から左心房へ血液が逆流します。

👉心臓の構造についてはこちら

👉血液の循環についてはこちら

原因としては、

  • リウマチ熱
  • 僧帽弁逸脱
  • 乳頭筋機能不全
  • 感染性心内膜炎
  • 僧帽弁輪部の石灰化

などがあります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)を
専門的に診療する診療科は
循環器科・循環器内科となります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)がご心配な方は、
循環器内科・循環器科受診をご検討ください。

循環器内科とは?専門とする病気・症状・受診の目安を医師が解説

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僧帽弁閉鎖不全症(MR)では何が起こるの?

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
左心室から左心房へ血液が逆流します。

左心房は肺から戻ってくる血液に、
この逆流した血液が追加された分を
左心室に送ろうとするため

左心室には通常より
多くの血液が戻ってくることになり、
左室容量負荷がかかります。

この状態が続くと、
左室は拡大し、遠心性肥大をきたします。

つまり、MRでは心電図上、
左室肥大所見左室拡大所見
みられることがあります。

一方で、左心房には、
肺から戻ってくる血液に加え、

左心室から逆流した
血液は左房へ流れ込むため、
左房圧が上昇します。

その結果、左房負荷所見が出現し、
さらに左房拡大へ進むことがあります。

👉心臓の構造についてはこちら

👉血液の循環についてはこちら

Tips !

左房拡大が進行すると、
心房細動を合併することもあります。

また、左房圧の上昇は肺静脈圧にも影響し、
進行すると肺うっ血につながります。

心房細動についてはこちら

僧帽弁閉鎖不全症(MR)を
専門的に診療する診療科は
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僧帽弁閉鎖不全症(MR)がご不安な方は、
循環器内科・循環器科受診を推奨いたします。

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僧帽弁閉鎖不全症(MR)の心電図所見

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
収縮期に左心室から左心房へ血液が逆流します。

そのため、大動脈弁閉鎖不全症(AR)と同じように、
左室容量負荷による左室拡大を主体とした
遠心性肥大が起こります。

心電図では、左室肥大所見を示すことが多く、
場合によっては左室拡大所見もみられます。

ただし、ST-T異常は比較的軽度です。
左室肥大に伴う典型的な strain pattern
まれとされます。

Q
大動脈弁閉鎖不全症(AR)と比べたときの特徴は?
A

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では
大動脈弁閉鎖不全症(AR)と比べると、

左房負荷所見心房細動
認めることが多い点が特徴です。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

左室肥大所見|僧帽弁閉鎖不全症の心電図

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
大動脈弁閉鎖不全症(AR)と同様に
心電図で左室肥大所見を示すことがあります。

代表的には、以下のような電位基準です。

  • SV1+RV5またはRV6 > 35mm
  • RV5またはRV6 > 26mm

ただし、四肢誘導の基準まで
満たすことはまれです。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
胸部誘導で左室肥大を
疑うような高電位がみられても、

典型的な圧負荷型の左室肥大とは
少し印象が異なることがあります。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

左室拡大所見|僧帽弁閉鎖不全症の心電図

左心室が拡大すると、
左心室はV6誘導に近づきます。

そのため、V6誘導のQRS波が
高電位
となり、

次のような所見が
左室拡大の手がかりになります。

  • RV6 > RV5
  • QRS波総電位で V6 > V5
Tips !

ただし、左室拡大所見は
診断感度が高いわけではありません。

そのため、この基準を満たす場合には、
かなり進行した左室拡大を疑います。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

左房負荷所見と心房細動|僧帽弁閉鎖不全症の心電図

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
左房内へ血液が逆流するため
左房拡大や左房圧上昇をきたします。

左房負荷を疑う代表的な心電図所見には、
次のようなものがあります。

  • II誘導のP波幅が0.12秒・・・3mm以上
  • V1誘導のP波陰性部分の面積が1mm²以上
  • V1誘導のP波陰性部分の幅が0.06秒・・・1.5mm以上

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
僧帽弁狭窄症(MS)ほど
頻度は高くありませんが、

経過とともに左房が拡大し、
心房細動を合併することがあります。

心房細動をきたした場合、
f波は比較的粗いことがあります。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

ST-T異常|僧帽弁閉鎖不全症の心電図

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
ST低下、平低T波、陰性T波などの
ST-T異常は、あまり目立たないことがあります。

むしろ、T波はやや高めに
みえることもあります。

大動脈弁閉鎖不全症(AR)と同様に、
僧帽弁閉鎖不全症(MR)でも
典型的な strain pattern はまれです。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)
は主に容量負荷の病態であり、

強い圧負荷型の心電図変化とは
異なる点に注意します。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

まとめ

僧帽弁閉鎖不全症(MR)では、
収縮期に左心室から左心房へ血液が逆流します。

その結果、左室には容量負荷がかかり、
左室肥大所見左室拡大所見がみられることがあります。

また、左房には逆流血が流れ込むため、
左房圧上昇左房拡大をきたし
心電図では左房負荷所見がみられることがあります。

さらに経過が長くなると、
心房細動を合併することもあります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)の心電図では、

に注目して見ると、
病態を整理しやすくなります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)を
専門的に診療する診療科は
循環器科・循環器内科となります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)がご心配な方は、
循環器内科・循環器科受診をご検討ください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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