肥大型心筋症の心電図所見|波形の特徴、左室肥大・ST変化・異常Q波を解説

  • 左室肥大の心電図って、高血圧だけを考えればいいの?
  • 若い人で高電位や深い陰性T波を見たら、何に注意すればいい?
  • 肥大型心筋症では、どんな心電図所見が出やすいの?

心電図で左室肥大所見を見たとき、
まず高血圧を思い浮かべる方が多いと思います。
たしかに、高血圧は左室肥大の代表的な原因です。

しかし、左室肥大を示す心電図所見は
高血圧だけでなく、

肥大型心筋症でもみられることがあります。

肥大型心筋症では、心筋が病的に厚くなることで、
心電図上の波形は高電位、ST-T異常、巨大陰性T波、異常Q波など、
特徴的な変化を示すことがあります。

この記事では、
肥大型心筋症でみられる心電図所見について、

循環器専門医が、
左室肥大、ST-T異常、巨大陰性T波、異常Q波を中心に
できるだけわかりやすく解説します。

循環器内科ってなに?専門とする病気・症状・受診の目安を医師が解説

心電図の上にハートの模型が置いていあります。

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親ページ:心臓疾患から引ける心電図所見まとめ|不整脈一覧

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診断や治療を目的としたものではありません。
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肥大型心筋症とは

肥大型心筋症は、
心臓の筋肉が病的に厚くなる病気です。

約70%は家族性に発症するとされ、
βミオシン重鎖遺伝子異常などの
遺伝的な要因が関係します。

高血圧によって
心臓の筋肉が厚くなる場合とは異なり、

血圧の高さとは関係なく
心筋そのものが異常に肥大するのが特徴となります。

高血圧と心電図変化の関係|左室肥大やST変化、異常なしの場合も解説

肥大型心筋症を専門的に診療する診療科は
循環器科・循環器内科となります。

肥大型心筋症がご心配な方は、
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循環器内科とは?専門とする病気・症状・受診の目安を医師が解説

肥大型心筋症の肥厚パターン

肥大型心筋症は
心筋がどの部分で厚くなるかによって
いくつかのタイプに分けられます。

代表的には、次の4つです。

非対称性
心室中隔肥大型

心室中隔が左右非対称に厚くなるタイプです。

心室中部肥大型

左室の中ほどを中心に肥厚するタイプです。

心尖部肥大型

左室の先端にあたる心尖部が厚くなるタイプです。

対称性肥大型

左室全体が比較的均等に厚くなるタイプです。

肥大型心筋症でみられる心電図所見

肥大型心筋症では
左室の筋肉が病的に厚くなるため、

心電図では強い左室肥大所見を
示すことがあります。

また、大動脈弁狭窄症などでみられるような
ST-T異常を伴う左室肥大所見を示すこともあります。

特に、ストレインパターンと呼ばれる
ST-T変化
を伴うことがあります。

さらに、心筋梗塞に似た
異常Q波を認めることもあります。

一方で、肥大型心筋症であっても、
約20%では心電図に明らかな異常を
認めないことがあります。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

左室肥大所見

肥大型心筋症では、
左室肥大が強くなることが多いため

心電図、左室肥大の電位基準を
満たすことがあります。

胸部誘導では、

  • SV1 + RV5 または RV6 > 35mm
  • RV5 または RV6 > 26mm

また、胸部誘導だけでなく、四肢誘導でも、

  • RI + SIII > 25mm
  • RaVL > 11mm

といった左室肥大の基準を
満たすことがあります。

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ST-T異常

肥大型心筋症では、
多くの例でST-T異常を伴います。

典型的には、上に凸の形をしたST低下から
陰性T波へ移行する、
ストレインパターンを示すことがあります。

日本人に比較的多いとされる心尖部肥大型では、
V2〜V4誘導で巨大陰性T波を認めることがあります。

ただし、巨大陰性T波は
心尖部肥大型だけでなく、

ほかのタイプの肥大型心筋症でも
みられることがあります。

👇各心電図所見の一般的な解説はこちら

Tips !

高血圧や大動脈弁狭窄症による左室肥大でも、
心電図上はストレインパターンを伴う
左室肥大所見を示すことがあります。

そのため、心電図だけで
原因を決めることはできません。

特に、40歳以下の若い方や、
血圧が正常なのに左室肥大やストレインパターンを認める場合には、
肥大型心筋症も考える必要があります。

高血圧と心電図変化の関係|左室肥大やST変化、異常なしの場合も解説

左房負荷所見

著明な左室肥大があると、
左室の内圧が上がり
それに伴って左房圧も上昇することがあります。

その結果、心電図では
左房負荷所見を示すことがあります。

左房負荷は、以下のような所見で判断されます。

  • II誘導でP波の幅が0.12秒以上
  • V1誘導でP波の陰性成分の面積が1mm²以上
  • V1誘導でP波の陰性成分の幅が0.06秒以上

これらの所見がある場合、左房負荷を考えます。

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左軸偏位

左室肥大があると、
心臓の電気的な向きが左側に偏り
左軸偏位を示すことがあります。

左軸偏位とは、
電気軸がおおむね−90°から0°の範囲にある状態です。

心電図では、I誘導でR波がS波より高く
aVF誘導でR波がS波より低い場合に
左軸偏位と判断します。

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異常Q波

肥大型心筋症では、
約25%に異常Q波を認めるとされています。

特に、非対称性心室中隔肥大型では、
心室中隔が著しく厚くなるため
V1・V2誘導で幅広く高いR波を示すことがあります。

また、V5・V6誘導で
異常Q波
を認めることがあります。

場合によっては、
II・III・aVF誘導にも
異常Q波
がみられることがあります。

異常Q波は、一般に、

  • Q波幅が0.03秒以上
  • Q波の深さがR波の高さの4分の1以上

の場合に考えます。

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まとめ

肥大型心筋症は、
心臓の筋肉が病的に厚くなる病気です。

高血圧による左室肥大とは異なり
血圧の高さとは関係なく
心筋が肥厚することがあります。

心電図所見では、
特徴的な波形を認めることがあります。

特に、若い人や血圧が正常な人で
左室肥大所見を認める場合は、

単に「高血圧による変化」と考えず
肥大型心筋症も意識することが大切です。

一方で、肥大型心筋症であっても
心電図に明らかな異常を認めない場合もあります。

そのため、心電図所見だけで
診断を確定することはできません。

心電図で肥大型心筋症を疑う所見を見つけた場合は
症状、年齢、血圧、家族歴、心エコー検査などと
あわせて判断する必要があります。

肥大型心筋症を専門的に診療する診療科は
循環器科・循環器内科となります。

肥大型心筋症がご心配な方は、
お近くの循環器科・循環器内科受診を検討しましょう。

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ここまで読んでいただき、
ありがとうございます!

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